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トリプルA内閣の甘利大臣が9日、横浜市で、日経平均が年度末に13000円になるよう目指すと報じられています。

何故、経済再生担当の大臣が株価に言及するのか? 

あまり考えずに発言したのか?

先ず、ファクトを確認しておきましょう。具体的に甘利大臣はどう言ったのか?

「期末までには1万3千円を目指して頑張るぞという気概を示すことは大事だ」「平均株価が2000円以上上がって、企業の含み益が38兆円増えた」「株価が上がるように次々と手を打っていきたい」

やっぱしねー‥

最低限度の言い訳はできるようになっているのです。

だってそうでしょ? 13000円という数字は示したものの、その位の気概を示すことが大事だと言っただけだ、という言い訳ができるようになっているのです。

ただ私としては、具体的な株価に言及していることも問題ですが、その株価が達成される具体的な期日にまで言及したことが、それにも増して問題だと思うのです。

何故かと言えば、株が将来上がるか下がるか、なんてことを予想するのはそれほど難しい訳ではないのですが― つまり、2つに1つは当たる訳ですから― 株価が何時幾らの値を付けるか、また、株価の流れがいつ変わるかを予想するのは大変難しいからなのです。

つまり、今後株価が上がるか下がるかという予想が当たったとしても、必ずしも儲けることはできないのですが、それだけではなく、何時株価がどのような値を付けるか、或いは何時流れが変わるのかを予想することができれば確実に大儲けできるでしょう。

よく言うでしょ? もうはまだなり、まだはもうなり、と。

つまり、甘利大臣は言及すべきでない株価に言及し、しかも、期日まで指定した。そして、その株価を達成するために「次々と手を打っていきたい」と言っているのです。

幾ら政府が株価を上げたいと思っても、そう簡単には行かない?

確かに、株価が下降局面にあるときには、総理や関係大臣が何を言っても反応しないことが多いでしょう。しかし、今は、空前の株価の上昇局面にあるのです。個人投資家がまた戻ってきている、と。俺も、私もと、もう一度、株で一儲けしたいと目論む人が増えているのです。

そうしたなかで、大臣が「次々と手を打って、年度末に13000円を達成させたい」と言うのであれば、買わないとバカみたいな話ではないですか?

そして、もし、そう思う個人投資家が次々と現れれば、株価はさらに上がる。少なくても3月31日までは、株は上がり続けると見た方がいいでしょう。

結局、甘利大臣は、投機を推奨しているみたいなものなのです。

だから、非常に危うい。

というのも、そうして投機を推奨するときには、その裏でそうしたシナリオを書いている者がいることが多いからです。

甘利大臣は、ひょっとしたら第三者に利用されているのかもしれません。株価をもっと上げれば、景気もよくなり、政権の支持率がもっと上がる筈だ、と。そして、景気をよくすることができたら、甘利大臣の株はもっと上がりますよ、ひょっとしたら、ポスト安倍になれるかもしれない、と。

そして、そうやって株価を釣り上げておいて、タイミングを見計らって株を売り、大儲けをする、と。一方、多くの個人投資家は、高値の株を掴まされ‥その後は、どうなるか分からない。また、株価が下がるかもしれないのです。

甘利大臣は、確か為替レートについては言及しないと言っていた筈なのに、何故、今回は株価に、しかも期日指定で言及したのか?

憶測を呼ぶのは当然だと思います。

以上


小笠原 誠治
経済コラムニスト
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